電子タバコが席巻していますね。
先ごろJRの駅の待合室で、ぷかぷかとこのタバコを吸っている若者がいて、びっくりしました。火を使わなくていいし、火事の心配もないようで、「安全」ではあるようです。先端に赤いLEDがついていて、まるでタバコに火をつけているようで、しかも、吸っているひとが蒸気を吐き出す姿は、本物のたばこを吸っているようで、ちょっとどきっとしました。
調べてみると、法規制が整備が遅れているので、禁煙と表示されている場所であっても、電子たばこなら吸ってもいいのですね。ただし、北海道JRは、先見性があるようで、電子タバコは禁止としているようです。平成21年5月1日からで、列車の中ではもとより、待合室でもだめとか。タバコを吸っているのと混同されることになるので、ということが理由とHPではなっていますね。実際、これを知った電子タバコ愛煙家が、安全なのになぜこのような処置をするのか、という苦情をいれられたという記事も目にしました。
この電子タバコという代物、一体全体問題があるのか、ないのか、本当に安全だといえるのか、詳細な科学的検討はどうなっているのか、気になるところです。いわゆる「タバコの害」についても、あれほど長くその害が隠蔽されていたという事実があったわけですから、電子タバコについて健康被害があるかもしれないと、疑ってかかるのは人の常かもしれません。特に、液体に熱を加えて霧状にしてそれを吸うわけですので、その液体には何が含まれているのか、霧状になったものにはどうなのかが、気になるところです。
1月22日に発表になったニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、ポートランド州立大学のジェンセン博士らがこれらの検討結果を報告しています。電子タバコに使われる液体には、プロピレングリコールかグリセロールは、必ず含まれていて、それプラス、ニコチンと香料も含有されているとしています。この論文、オンラインの読まれた回数でみると、6万件あり、2位の論文の3倍と、アクセス数の多さからみても、世界の医師たちの関心の高さを伺い知ることができ、この話題は、グローバルに広がっていることがわかります。なんでも、この2つの物質、プロピレングリコールとグリセロールを、電子タバコのシステムを使って加熱とすると、ニコチンよりも高濃度に、ホルムアルデヒド放出物質が合成されるというのですから、困ったことです。
ホルムアルデヒドといえば、悪名高い発がん性のある物質。WHOの付属機関で、発がん性ありとされ、グループ1と分類されているのです。また、住宅の建材などにも含まれ、住んでいる人に健康被害に貶めいれる、シックハウス症候群でも有名です。一回電子タバコを吸い込むと、5ないし11mgの液体を吸い込むことになります。どうやら重要なのは、液体にかける電圧のようで、低い電圧だとホルムアルデヒド放出物質は出来ないが、高い電圧だとホルムアルデヒド放出物質できてしまうようです。この高い電圧が普通使われている電子タバコの場合と同じ値となります。そこで、だいたい、一日あたりになおすと、電子タバコ使用で、14mgのホルムアルデヒドを結果的に吸い込むことになり、タバコ20本で吸い込む量の5倍程度となると見積もられます。大変多い量です。長期にタバコを吸って癌を発症するリスクから計算すると、少なく見積もっても、その5倍程度、多く見積もると15倍程度になるとのことで、電子タバコから出るホルムアルデヒドは人体に与える影響は甚大と予想できるとしています。電子タバコから出るホルムアルデヒドのほうが、霧状の粒子になっていることから、普通のたばこの煙より、むしろ、肺の組織に定着しやすいということも考慮にいれれば、その発がん性を論ずれば、明確な答えがでることが予想されます。
このような角度からの研究が進み、さらに発がん性の研究が進めば、電子タバコの健康被害が、科学的に大きくクローズアップされるのも時間の問題でしょう。そして、多くのひとがそのデータを信じたとき、電子タバコも、普通のタバコと同じ扱いになっていくのではないでしょうか?厚生労働省からの発表も昨年暮れにありました。どうぞ、今後も新情報には、くれぐれも注意を払ってください。